国語読解の壁を突破!「読解問題」攻略4つのコツ
話を聞いた人

荒賀健志

西宮北口駅ビル校教室長、国語科主管を経て、現在最難関校対策部門の統括責任者を務める。日能研関西入社以来、灘特訓、甲陽特訓、女子西大和洛南特訓、神戸女学院特訓を担当。最難関校受験生向けの教材作成、灘トライアル等のテスト作成に携わる。再現性が高く、論理的で鮮やかな解法で解説するわかりやすい授業には定評がある。

読解問題、特に「傍線部分」に関する問いに戸惑うお子さんは少なくありません。しかし、いくつかの基本技を身につければ、まるでパズルのように答えが見えてきます。このコラムでは、国語の読解力を飛躍的に向上させるための、具体的な4つの基本技をご紹介します。文章の「読み解く力」を育むヒントが満載なので、ぜひ最後までお読みください。

基本技の前に…最も大事なこと―傍線部だけでなく「一文全体」を見る習慣を

読解問題で傍線が引かれていると、ついその部分だけに注目してしまいがちです。しかし、これが落とし穴。問題を解く際に最も大事なことは、傍線を含む「一文全体」を読んで問題を考えることです。そのうえで、どんな作業をしていけば問いに対する答えを導き出せるのか、次の項目でご紹介していきましょう。

読解問題を解くための4つの基本技

1.指示語や接続語に注目する「文のつながりチェック」

文章を読む上で、言葉のつながりを意識することは非常に大切です。特に、傍線部が含まれる一文の中に「これ」「それ」といった指示語(何かを指し示す言葉)や、「しかし」「だから」「つまり」のような接続語(文と文、段落と段落をつなぐ言葉)があれば、それが答えを導く大きな手がかりになります。

たとえば、「それ」が傍線部に含まれていたら、「それ」が指している内容を文章中から見つけると、問題が解けるというケースは非常に多いのです。これは読解の最も基本の「技」と言えるでしょう。

接続語は、文章の流れや論理関係を示します。「しかし」のような言葉があれば、その前には傍線部の内容と反対のことが書かれている、つまり「対比関係」になっています。これにより、傍線部の意味をより明確にとらえることができます。

例えば、「雨が降ってきました。だから傘をさしました。」という文で、「傘をさしました」に傍線が引かれ「なぜ?」と問われたら、答えは「雨が降ってきたから」ですよね。「だから」の前には理由が書かれています。このように接続語を意識することで、問題の解き方が一瞬で見えてくることが多々あります。

2.主語と述語の関係を読み解く「文構造のチェック」

文章は、主語と述語という重要な要素で成り立っています。この構造を意識して読むと、問題を解く手掛かりに気づくことができます。

もし傍線が述語の部分に引かれていた場合、その文の主語は何かを確認してみましょう。多くの場合、主語の中に答えのヒントが隠されています。

逆に、主語に傍線が引かれているときは、述語の部分に着目することで、問題解決のヒントが見つかることがよくあります。

3.文脈の中での「言葉の意味」と「ニュアンス」を考える

文章中で使われる言葉は、辞書に載っている意味そのままとは限りません。その言葉が「文脈(文章全体の流れや状況)の中でどういう意味で使われているか」というニュアンスを捉えることが重要です。

まずは辞書的な意味を考え、そこから「この文章の中ではどのような状況を表すのか」を重ね合わせて考えることで、正解が見えてきます。

「言葉の意味」に注目し、文章全体の中でどのような役割を果たしているのかを深く考える習慣をつけましょう。

4.繰り返しに隠されたヒントを見つける「同一語句の探索」

特に、「抜き出し問題」などで有効なのが、文章中に同じ言葉が使われている別の箇所を探すことです。

傍線部に使われている言葉と同じ表現が文章の別の場所に出てきたら、その前後に傍線部の説明が書かれている可能性が高いのです。

少し広い視野で文章全体を見渡し、文章構成を考える習慣をつけることで、答えが書かれている場所を効率的に見つけることができるようになります。

読解力向上のための確かな一歩

今回ご紹介した4つの読解テクニックは、どれも基本的ながら非常に強力な武器となります。難関校の入試問題などでは、これらの技を組み合わせることで、より複雑な問題にも対応できるようになります。

まずは、それぞれの「技」を一つひとつ、しっかりとご自身のものにしてください。読解力は一朝一夕で身につくものではありませんが、これらのアプローチを意識し練習を重ねることで、きっと文章を読むことがもっと楽しく、得意になるはずです。焦らず、一歩ずつ、「なぜ?」を解き明かす喜びを味わいながら、着実にステップアップしていきましょう。

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