新学年が2月に始まる中学受験において、冬期講習は新学年直前に行われる重要な講習です。どの学年においても重要であることは変わりませんが、冬期講習で得られるメリットは状況によって異なるといいます。
そこで、今回は日能研のベテラン講師である荒賀先生と邨田先生に、冬期講習で得られるメリットについて学年別でお聞きしました。
3年生の冬期講習は、塾の雰囲気に慣れる機会に
まずは、3年生が冬期講習で得られるメリットについて、算数の邨田先生が語ります。
邨田先生「3年生の場合は、まだ塾に通っていない子が多い段階です。日能研の場合は、4年生のカリキュラムが始まるタイミングで入室される方がもっとも多いのですが、3年生の冬期講習は塾の雰囲気に慣れてもらう機会にしていただけたらと思います」
4年生のカリキュラムはいつから始まるのでしょうか。
邨田先生「塾の新学年は2月から始まるので、新4年生のカリキュラムは小学校3年生の2月から取り組みます。冬期講習は新たに学びをスタートするために、心の準備をしておく期間といえるでしょう。冬期講習で顔見知りの先生やお友だちをつくっておくと、円滑にスタートダッシュを切っていただけます」
国語の荒賀先生も、4年生からの通塾を考えている方に、３年生の冬期講習からの開始を推奨しています。
荒賀先生「いきなり2月から始めるより、冬期講習を利用していただくようおすすめしています。体験授業などで1日塾の様子を見てもらう機会もありますが、まだ塾に通っていない子たちばかりが集まる環境です。一方、冬期講習はすでに通っている子たちのなかに入るため、塾本来の雰囲気を味わっていただけます」
冬期講習から参加することで、精神面でも学習面でもメリットがあるそうです。
荒賀先生「1日だけの体験授業とちがい、数日連続で参加すると、体験で得られるものがとても大きくなります。同じ学年の子が勉強している様子を実際に見ると、自分が通っている様子を想像しやすくなるでしょう。学習面でも、入室後の勉強につながっていくため、冬期講習を受けずに入る場合よりもスムーズに勉強に取り組みやすくなります」
4・5年生の冬期講習は、苦手分野や積み残しを学び直す機会に
4年生や5年生の場合は、冬期講習でどのようなメリットが得られるのでしょうか。
「新学年の頭から中学受験を始める場合、冬期講習を受けるとよいスタートダッシュを切れることは、全学年に共通しています。しかし、4年生以降ではすでに塾通いをしているお子さまが多く、大半のお子さまにとって冬期講習の意味合いが変わってきます」
すでに塾通いをしているお子さまにとって、冬期講習はどのような役割を果たすのでしょうか。
邨田先生「4年生・5年生のカリキュラムには重要単元が多く、一つひとつの単元が重ためです。例えば、算数の場合は、前期に計算単元を学び、後期で思考力が問われるものを学びます。計算や基礎的な単元の土台ができていることを前提に進んでいくため、基礎的な理解が大きく欠けていると、授業についていくことが難しくなるのです。消化不良に終わる単元も多いので、冬期講習は苦手分野や積み残しを解消するためにきちんと学び直す機会になります」
次の学年に入る直前の開催という意味でも、重要性の高い講習といえるそうです。
邨田先生「1ヶ月後には新学年がスタートします。冬期講習を受けなければ、前の学年の内容が未消化のまま次の学年に進んでしまう可能性もあるため、旧学年の内容を完成させる意味でも冬期講習は重要です」
荒賀先生によると、冬期講習は塾生にとっても、入塾前のお子さまにとっても、メリットが大きいといいます。
荒賀先生「冬期講習は、重要ポイントのダイジェスト版です。塾生にとっては、大事な単元をもう1回やり直して定着を図っていくことになります。一方、入塾前のお子さまにとっては習ってこなかった範囲をかいつまんで勉強できるため、両者それぞれにメリットがあります」
新5年生や新6年生からの入塾を検討中で、周囲からの遅れに不安を感じているご家庭にとって、冬期講習は絶好の機会といえるようです。
荒賀先生「新4年生2月のタイミングで入塾する場合以外は、どのタイミングで入っても未修単元が発生します。講習会は、習っていないところを補う場という位置付けでもあるため、積極的に活用していただきたいです」
6年生の冬期講習は、精神と生活ペースの安定に不可欠
6年生にとっての冬期講習はほかの学年と大きく異なり、入試に甚大な影響を与えるそうです。
邨田先生「受験直前期にあたる6年生にとって、冬期講習は精神の安定を図るうえで非常に重要な講習といえます。6年生が冬期講習に参加しないのは、真っ暗闇のトンネルの中で生活をするようなものです。ほかの子の様子やわが子の仕上がりなどがわからない状態で、受験直前期の1ヶ月を耐えるのは、精神的に非常に厳しいでしょう」
受験に挑むお子さまのペースづくりに、冬期講習が大きく貢献するといいます。
邨田先生「お子さまからすると、生活ペースの安定が、精神の安定につながります。決まった時間に塾に行き、決まった時間に家庭学習をするという生活ペースを安定させることが大切です。入試を迎えるにあたり、心と生活のペースを安定させて最後の受験に臨んでいただくという意味で、冬期講習は不可欠だと思います」
冬期講習は、どの学年においても一年の集大成であると、荒賀先生が語ります。
「冬期講習は、その学年で習ってきたことをしっかりと確実に仕上げ、上の学年につなげて頑張っていくための講習です。1年の集大成として活用していただきたいです」
冬期講習はどの状況、どの学年においても重要な学習の機会となります。受講について不安やお悩みがある場合は、ぜひ日能研にご相談ください。お子さまやご家庭の状況に寄り添いながら、日能研の講師がベストな方法をご提案します。新学年を笑顔でスタートするために、冬期講習をぜひご活用ください。
聞き手・文：古賀令奈
