中学受験のお悩みとして多く寄せられるものといえば、スマートフォンとの付き合い方です。安全のために持たせたものの、ゲームやSNSに時間を費やしてしまうケースは少なくありません。
今回は、三つ子全員を甲陽学院中学に導いたOさんに、ご家庭で実践していたスマートフォンとの付き合い方をお聞きしました。
受験時代は3人で1台。送迎の連絡以外では使わない約束
Oさんご一家は、スマートフォンとどのように付き合ってこられましたか。
「中学受験の頃は、送り迎えの連絡をするためだけの約束で用意しました。だから、3人で1台です。送り迎えでしか使わないので、家族以外とのやりとりをすることもそれほどなく、とくに問題はありませんでした」
お友達との連絡で使うことはありませんでしたか。3人で1台となると、どのように対処されていたのでしょうか。
「三つ子だとお友だちも大体共通しています。小学校・塾どちらとも人間関係は共通しているので、1台で大丈夫だろうと判断しました。例えば、長男が習いごとの友だちと連絡先を交換しようという話になったときは、きちんと私の承諾をとってから相手に返事をするなど、都度確認をとってくれるので心配も少なかったです」
お母さまが困る場面はありませんでしたか。
「子どもたちがバラバラに行動することもあるので、不自由したことも少なくありません。ただ、3人が別行動したときに不便なだけで、家での使い方については問題を感じませんでした」
SNSは慎重派。グループLINEは入らない約束
3人で1台となると、SNSはどのように付き合っていたのでしょうか。
「SNSには3人とも慎重派です。お友だちと連絡先を交換すると、グループLINEに誘われますが、当時は入らない約束でした」
3人ともお友だちとのやりとりには消極的なのでしょうか。
「小学校の卒業でお友だちと別れることになるので、その縁はつないでおきたかったようです。連絡先を交換した流れで、グループLINEに招待されて入っていました。ただ、息子たちは執着していないので、一日の終わりに大量のやりとりを見て『わっ! すごく来てる』と驚く程度です。会話はすでに終わっているので、入ることもありません」
グループLINEに入っても、お友だちとコミュニケーションをとることはあまりないのでしょうか。
「自分が言いたいことは言っているようです。進学先の甲陽は、地元の中学よりも入学式が早かったので、『おれたちの入学式の写真だよ』と画像つきで送っていました。それにコメントをもらって終了する程度で、基本的にはあっさりとした使い方です」
受験後にスマホ追加の予定が……「スマホNG」校則で保留に
中学受験を終えてから、スマートフォンとの付き合い方に変化はありましたか。
「実は、今も3人で1台のままで、使い方にも大きな変化はありません。受験後に2台追加する予定でしたが、甲陽はスマートフォンの持ち込みを禁止しているので、必要性が感じられなかったからです」
スマートフォンの使用や持ち込みを禁じている中学校は多いですが、許可の取得などで持ち込み可能な学校は少なくありません。甲陽では厳しく禁じられているのでしょうか。
「入学前に開かれる合格者招集の際に、スマートフォンの取り扱いについて厳しく伝えられました。事前にその旨は聞いてはいましたが、想像以上です。息子たちは意外と真面目なので、『怒られるから絶対に持っていかない』とルールを守っています」
受験後もスマートフォンの台数は変わりなかったとのことですが、使い方の面でもあまり変化はありませんか。
「目立った変化はありませんが、日能研のお友だちとの関係を今もつなげてくれています。卒業や祝賀会のときに持参し、みんなで写真を撮っていました。甲陽のお友だちでつながっているのも日能研のお友だちです」
家庭や学校のルールを守ることで快適に過ごせる
小中学生の保護者の方にとって、スマートフォンとの付き合い方は大きな課題といえます。Oさんのご家庭では、家庭や学校で決められたルールをきちんと守ることで、受験に影響を与えることなく過ごせたようです。
ルールが曖昧だったり、お子様が納得のいかない内容だったりすると、スマートフォンの使い方も乱れやすくなります。一方、Oさんのご家庭では、ルールを守ることに不満がなく、お子様たちにとってごく自然なことのように感じられました。
スマートフォンは、使い方次第で有益も不利益ももたらす諸刃の剣のようなツールです。お子様がルールを守って適切に使える環境を整えることで、便利なツールとして快適に使えるでしょう。日能研は、お子様の生活や学習にまつわるお悩みに寄り添ってサポートします。学習方針に不安のある方は、お気軽にご相談ください。
聞き手・文:古賀令奈