三つ子ママ⑦最難関校に全員合格!三つ子ママの中学受験子育て術 〜一人を褒めたらケンカ勃発!みんな満足の褒め方術〜
話を聞いた人

三つ子ママ Oさん

日能研卒塾生の保護者。三つ子(男子)の母。第一志望校の関西最難関校の甲陽学院中に三人全員合格。三つ子ならではの「全員合格」という高い目標を掲げ、喜びも不安も三倍の受験期を乗り越えた。三人を見守る日々は感情のジェットコースターだったが、互いに励まし合う息子たちの成長を実感。激動の中学受験の貴重な経験を語る。

きょうだいがいるご家庭では、一人を褒めるとケンカが起こるということもあるのではないでしょうか。三つ子の中学受験となると、褒めるときもひと苦労なのだとか。しかし、三つ子全員を甲陽学院中学に導いたOさんは、お子様たちの性格に合わせた褒め方で、全員が気持ちよく勉強できる環境を整えていたようです。今回は、三つ子ママのOさんが実際にしていた、三つ子くんたちの褒め方について詳しくお聞きしました。

テストの結果が出る月曜日、反応は三者三様

テストの結果が出たときの三つ子くんたちはどのような様子でしょうか。

「三人とも性格が違うので、反応もそれぞれです。長男はすぐに知りたい子で、学校から帰ってきたらすぐに結果を聞いてきました。結果の良し悪しは関係なく、自分が何番ぐらいだったかを確認したかったようです。だから、『悪くても言ってほしい』という感じでした」

次男くんと三男くんはいかがでしたか。

「次男は、悪かったら言ってほしくない子なので、『良かったときだけ言ってね』と言っていました。三男は自分の成績にはついては『どうせ悪かったでしょう』と、細かく気にしていない様子です。でも、ライバル視している長男の成績は気になるようで、自分の結果は聞かずに、長男の結果ばかり聞いてきました」

三男くんは成績に関心がないわけではなく、Oさんの反応から自分の成績をうかがうところがあったといいます。

「三男が長男の成績を聞いてきて、それに私が答えます。すると、私の言ったニュアンスから、『おれのほうが悪かったよね』『おれはもっと良かったでしょう』と言いながら、自分と次男の結果を推測していました」

褒めるときは必ず1対1で。大変なのは二人が良くて、一人だけ悪かったとき

三つ子で全員甲陽学院に合格というと、成績は同じくらいだったのでしょうか。

「4〜5年生のうちは、三人ともほぼ同じ成績でした。1〜2点差程度の僅差なことが多く、『三つ子ってすごいな』と少し面白かったくらいです。でも、6年生になると差がついていきました」

結果に差がつく場面が増えたのでしょうか。

「一人が良くて、あとの二人があまりできなかったり、逆に二人が良くて一人ができなかったりと、結果がそろわなくなることが増えていきました」

結果が離れるにつれて、対応が難しくなっていったそうです。

「褒めてほしい年代なので、一人になったときにこっそり褒めるようにしています。みんなの前で褒めると、『おれは?』、『おれは?』ほかの2人が聞いてきてケンカに発展していくので、1対1になれるタイミングのときを狙って伝えます。一人だけ別の部屋にいるときや、習いごとの送迎時など、ほかの二人と離れているときです」

もっとも難しいのは、一人だけ成績が悪かったときだといいます。

「一人が良くて二人が悪いときは、『二人とも悪かったね』とまとめて伝えても問題ありませんでした。一方、二人が良くて一人だけ悪い場合は、ややこしくなります」

自分では手に負えないときは先生にフォローを頼む

一人だけ悪かった場合は荒れるケースが多く、Oさんも手に負えなくなっていたそうです。

「私が誰かに聞いてほしいという気持ちもあり、塾の先生に相談していました。『一人荒れていて困っています』と伝えると、『とりあえず連れてきてもらったら話を聞きます』と快く対応してくださいます」

先生に入ってもらったほうが、三つ子くんたちも冷静になり、話を聞き入れやすいようです。

「親の私が言うよりも、第三者に入ってもらったほうがきちんと聞くようです。先生は一人ひとりをしっかりと見てくださっているので、生活面への理解も深く、大変助かりました」

先生と話したあとのお子様は、機嫌が良くなりやる気もアップするといいます。

「親があれこれ言うよりも、先生にお任せしたほうがいいと思う場面はお願いしていました」

褒めるのも分析も「ふわっと」親は細かく言わない

Oさんによると、成績が気になっても介入しすぎないことも大切だそうです。

「薄目でふわっと見て、あまり深入りしないようにしています。長男が分析好きなのですが、私まで細かく分析すると子どもたちの負担になるでしょう。私も子どもたちもしんどくなるので、『偏差値とかいいじゃん。大丈夫』のように軽く言っています」

成績の低下などが気になるときは、どのように対応されますか。

「例えば、算数が下がっていた場合は、どこかに原因があるはずです。でも、自分は分析しないので何の分野で下がっているかわかりません。そういうときは、先生にお電話して、算数の現状について相談をしていました」

お子様本人には成績の低下に触れず、先生に相談することで不安や疑問点を解消していたそうです。

「先生に相談すると、『これは〇〇なので大丈夫です』ときちんと説明してくださいます。先生のお言葉で安心できるので、あとは子どもにふわっとフォローするだけです」

Oさんのお話から、お子様たちが不満を感じないように、性格に合わせながらも、常に平等な対応を心がけているように感じました。褒める場合も注意する場合も深入りしすぎず、「薄目で見る」という対処術を持っておくことがポイントなのかもしれません。

三つ子に限らず、きょうだいやお友達との関係で、褒め方や注意の仕方に悩む場面は多いでしょう。日能研では、中学受験でお困りのご家庭に、細やかなサポートを心がけています。対応にお悩みの際は、ぜひお気軽にご相談ください。

聞き手・文:古賀令奈