伸び悩んだときこそ成長のチャンス!ベテラン塾講師おすすめの対処法4つ

優秀な子どもたちが集まる中学受験において、成績アップは簡単なことではありません。しかし、お子さまが伸び悩んだと感じたときこそ、成長のチャンスともいえるそうです。日能研のベテラン講師である荒賀先生と邨田先生に意見をうかがい、伸び悩んだときの対処法をお聞きしました。

1. 今こそが成長のチャンスだと捉える

お子さまが伸び悩んだと感じるとき、保護者の方はどのように働きかけるとよいでしょうか。荒賀先生が回答します。

荒賀先生「伸び悩むということは、必ず原因があるはずです。伸び悩んでいると感じたのであれば、原因をみつけて改善するタイミングが来たのだと捉えてください。順調なときは現状のやり方で成果が出ているので、アドバイスをしても効果にはあまり期待できません。伸び悩んでいるときこそ、改善できるチャンスです」

普段はアドバイスをしても聞く耳を持たない頑固な子も、伸び悩んでいるときは聞き入れやすくなるのでしょうか。

荒賀先生「本人がうまくいかずに悩んでいるときは聞き入れやすくなるので、『やり方をこう変えてみたらどうなるのかな』と気づかせてあげられたらいいですね」

成長するためには、塾の先生や親などのアドバイスを聞き入れることが重要だといいます。

荒賀先生「さまざまなアドバイスを受けて実際に試してみることで、自分のなかで一番ぴったり合う方法をみつけられるでしょう。まずは、一旦相手が言ったことを受け入れ、信じて試しみることがとても大切です」

2. テストの答案用紙から伸び悩んだ原因を分析する

伸び悩んでいる原因はどうやって探せばよいのでしょうか。邨田先生が答えます。

邨田先生「テストの答案用紙で原因を分析できます。塾がテストで出す問題は、すでに授業で習っている問題です。宿題でも同じような問題を解いているはずなので、その状態で間違えると言うことは、未消化になっていると考えられます。未消化の問題が放置されたままだと、伸び悩む原因になります」

テストの答案用紙を見て、間違った問題を見つけたらどのように対処すればよいでしょうか。

邨田先生「間違った問題は放置せず、必ず解き直しをしていただきたいです。問題や答えを見てなんとなくわかった気になっている状態だと、定着していない可能性があります。同じような問題が出ても次は解けるように、間違えたときに解き直してしっかりと定着を図る必要があります」

3. 答案やノート持参で塾講師に相談する

原因の分析というのは、間違っている問題を解き直すだけでよいのでしょうか。答案から分析までするのは難しい場合、どうすればよいでしょうか。

邨田先生「お子さま一人で分析するのは難しいと思います。保護者の方と一緒でも悩まれることもあるでしょう。そのときは、遠慮なく塾に面談を申し込んでください。面談時にテストの答案用紙やノートを持ってきていただけると、一緒に考えることができます」

答案用紙やノートをもとに先生と一緒に分析すると、どのような提案を受けられるのでしょうか。

邨田先生「原因を突き止めて、その部分の精度を高めていくための方法をご提案します。スケジューリングや学習方法の見直しが必要なことが多いので、ご家庭の様子をお聞きしながらお子さまに合った学習を一緒に考えたいですね」

状況によっては、学習量を減らす提案を受けるケースもあるようです。

邨田先生「現在の到達度によって、必要なアプローチが異なります。お子さまの到達度によっては、そこまでしなくていい範囲まで手を広げすぎて、本当に必要な部分が手薄になっているケースも少なくありません。そうした場合は、今必要な部分に絞った学習をご提案します」

4. あえてそのまま様子をみる

保護者の方が分析した結果、勉強量が足りないと感じた場合、量を増やしても問題ないのでしょうか。荒賀先生が回答します。

荒賀先生「私たちがみて『もっとできそうなのに手前で止まっている』と感じる子には、講師側から提案しています。その子に取り組んでほしい内容や、上を目指す意思確認など、ポテンシャルに応じてアドバイスするのも我々の仕事です」

塾の先生から勉強量や志望校について変更の提案がない場合は、今のやり方で問題ないというサインと捉えてよいのでしょうか。

荒賀先生「そのとおりです。過重な勉強でお子さまが潰れかけている場合は危険なので、絶対に増やさないでください。その状態で勉強量を増やすと、逆効果になる可能性が高いです」

伸び悩んでいて不安と感じる場合でも、親はあえて手を出さないという選択が正しいのでしょうか。

「お子さまの改善が必要な場合は、塾側から報告や提案があるはずです。塾から何も言われていない状態であれば、そのまま様子をみていただいて問題ないでしょう」

お子さまが伸び悩んだと感じている状態だと、親はやきもきしてしまうもの。親としてできる対策を考えて、手を尽くしたくなるかもしれません。しかし、状況によってはアプローチが逆効果になる可能性もあるため、お子さまに合った対応を見極めることが大切です。

日能研では、お子さま一人ひとりに合った学習方法やスケジューリングをご提案しています。悩んだときは一人で抱え込まず、ぜひお気軽にご相談ください。

聞き手・文:古賀令奈