夏期④成績アップ以上の効果も!夏の天王山「夏期講習」が中学受験に必須の理由

「夏は受験の天王山」といわれるほど、夏の過ごし方は合否に大きく影響します。なかでも夏期講習は、受験において非常に重要な取り組みです。夏期講習が受験生にとって必須といえる理由について、日能研のベテラン講師である荒賀先生と邨田先生にうかがいました。

「やり切った」という自信が受験直前期を支えてくれる

夏期講習を受講すると、どのようなメリットが得られるのでしょうか。

邨田先生「夏期講習を乗り切ることで、まずは自信をつけてほしいと思っています。難しいことでなくてもいいので、達成可能なレベルの目標を一つ決めてみてください。毎日継続できると、やり切った自分に自信がつきます」

邨田先生ご自身は、受験生時代に目標を立てて夏を過ごしていましたか。

「目標にしていたわけではないのですが、消しゴムを使い切ったことが自信になりました。それまではどこかで無くしたり、新しいものを買ったりして、使い切った経験がなかったので、6年生の夏だけで1個使い切ったときに『それだけ頑張ったんだ』と自信をもらえました」

夏に目標を立てて自信がつくと、どのような変化が期待できるのでしょうか。

「夏期講習は、受験まであと100数日という時期に行われます。この時期に自信を獲得しておくと、精神的に苦しくなる受験直前期のお子さまにとって、大きな支えとなるでしょう」

限界突破の経験が自分の強みになる

国語の荒賀先生は、夏期講習の受講によって自信の獲得以外にも大きなメリットが得られるといいます。

荒賀先生「夏期講習で一度限界を超えてみることも大事です。今までは『もう無理』と思ったら終わらせていた子も、夏に限界を突破する経験をしておくとよいでしょう」

なぜ限界を超える経験をしておいたほうがよいのでしょうか。

「自分のなかの壁を突破することで、ランナーズハイのような状態になるからです。ランナーが自分の限界を超えたときに気持ちよくなって高揚感を感じるように、勉強で限界を超えたときにも同様の状態になります。このような経験を一度味わっておくと、受験の大きな強みになるでしょう」

限界を超えたときに自覚できるのでしょうか。また、先生から見て判断できるのでしょうか。

「子ども自身は、それまで苦しかったのが楽しくなってきます。我々の目から見ても、しんどいことをしているはずが楽しんでいるように感じられるので、この子は振り切ったのだとわかります。そこまでいけたら非常に強い状態ですね」

12歳での限界突破は、大学入試でも活かされる

夏期講習で熱心に取り組んだ経験は、中学受験以外にも活かされると思いますか。

荒賀先生「12歳という年齢で入試の前に目標を達成し、限界を超える経験ができた子は、大学入試にも強いでしょう。10時間を超えるようなハードな勉強も、中学受験時代の経験があるから当たり前にこなせます。12時間、15時間という膨大な勉強を乗り越える力を備えられるのです」

中学受験の経験によって、大学受験での戦い方も身につくのでしょうか。

「これだけやればきっとできるという感覚はあると思います。『自分には受験を一度成し遂げた経験がある』と思えるため、厳しい大学受験でも敵前逃亡をせずやり切れるのでしょう」

夏期講習を受けない選択はデメリットが大きすぎる

6年生の夏に自分で目標を立て、限界を超える経験ができれば、夏期講習を受けなくても構わないでしょうか。

荒賀先生「塾もに通わず自力で達成するのは非常に厳しいでしょう。塾に通っていると、授業による強制力や、仲間と支え合って乗り越えられるメリットがあります。6年生の夏に夏期講習レベルの学習や経験を自力でできるお子さまであれば、そもそも塾は不要だと思います」

夏期講習は受講せず、家庭で指導したいというお母様も一定数いるようですが、どのように思われますか。

「塾は4科目のプロを集結させ、プロが分担して指導を行う場です。一方、お母様が指導される場合は、すべてお一人で担うことになります。塾と同程度の水準で指導するのは極めて難しいでしょう。夏期講習を受けないという選択は、あまりにデメリットが大きすぎると思います」

中学受験を控える小学6年生にとって、夏は自信や精神力をつけるためにも重要な時期です。日能研の夏期講習で、学力とともに本番を乗り切る力を身につけましょう。

聞き手・文:古賀令奈