国語の勉強法(第14回)物語文の心情説明、理由説明の記述の攻略法

今回は心情説明の記述と、物語文における理由説明の記述の考え方についてお話しします。
物語文は、場面の展開を意識しつつ、出来事、心情、行動のつながりに注目しながら文章を読み進めていくことが大切です。この「出来事、心情、行動」という流れには、因果関係があります。ある出来事が起こったことが原因で、心情が生れます。そして、その心情が何らかの行動を促すのです。ですから、この因果関係に着目して、心情説明や理由説明の設問を解いていくようにします。
心情説明問題は、心情を答えるだけではなく、その心情を持つにいたった、きっかけとなる出来事も説明するようにします。行動や動作、会話文、情景描写の部分から心情をとらえ、何が原因でその心情が生れたのかを考えましょう。行動や動作の部分に傍線が引かれているときは、傍線の前後にある会話文に注目し、きっかけとなる出来事を先に考えてから、そのときの心情を考えるようにするのが、設問を解くときのコツです。会話文のところに傍線が引かれているときは、会話文の直前、直後の地の文のところから心情を先に読み取ってから、きっかけとなる出来事を考えるのがよいでしょう。いずれのパターンも、傍線を含む文脈における会話の流れをとらえることが、心情を読み取るうえで大切になります。誰がどのように発言したことを、誰がどのように受け止めているかを考えるようにしてください。
次に、物語文における理由説明の記述の解法について見ていきたいと思います。物語文の理由説明の記述は、傍線が引かれている部分によって、3種類に分類して考えるようにします。1つ目のパターンは、傍線が「行動、動作」に引かれている場合です。行動や動作の理由を問う問題の考え方は、心情説明の記述と同じ考え方で解けます。それは、初めに説明したように、「出来事、心情、行動」には因果関係があるからです。ですから、「きっかけとなる出来事」と「心情」の2点を説明すれば、解答が完成します。
2つ目のパターンは、傍線が「心情」に引かれている場合です。このときは、どんなときにその心情になるのかを考え、それを本文の内容と照合させて説明するようにします。少しわかりにくいかもしれませんので、例をあげて説明してみましょう。「テストで30点の答案がかえってきて驚いた」という内容について考えてみたいと思います。「驚く」という言葉に傍線が引かれ、なぜ驚いたのかを説明する問題が出題されたとします。さて、みなさんはどのような答えを書きますか。「テストで30点を取ってしまったから」という解答を書く人が多いと思いますが、これでは正解になりません。テストを受けた時に手ごたえがよくなければ、30点という答案が返却されても、驚きませんよね。もっといい点数が取れたと思っていたのに、予想外の点数の低さに「驚く」という気持ちが生れたのですね。つまり、「驚く」という気持ちは、「①予想、想定していたことが、②外れた、裏切られた」ときに生じるのです。このように、どんなときにその心情になるのかを分析して、解答を作成するのがポイントとなります。
3つ目のパターンは、「行動、動作」、「心情」以外のところに傍線が引かれている場合です。このパターンの問題は、前回お話しした説明文、論説文の理由説明と同じ考え方で解くことができます。傍線前後の事実関係を正確にとらえ、理由を考えるようにします。また、会話文や地の文の中に、理由を表す表現がないかに注意することも大切になります。
心情説明と理由説明は、物語文の読解問題において中心となる設問です。今回の内容をしっかりと身につけて、対応できるようになってほしいと思います。