国語の勉強法(第6回)読解力の身につけ方(物語文編)

今回は物語文の読解力の身につけ方についてお話しします。
物語文の読解では、場面をしっかりととらえ、登場人物の心情を読み取ることが求められます。また、その物語の主題についても理解することが大切です。
まず、場面のとらえ方について説明していきます。物語文を読むときには、「いつ」「どこで」「誰が」「どうした」かを意識しましょう。場面はこの4つの要素で構成されています。つまり、時間、場所、登場人物、出来事に注目します。文章の初めの部分を読むときには、ゆっくりと丁寧に読んで、頭の中で登場人物の関係を整理しながら読むようにします。登場人物がたくさん出てくる文章では、人物関係をメモしながら読むとよいでしょう。
この場面を構成する4つの要素は、物語が進むにつれて変化していきます。時間や場所が変化したり、新しい登場人物が出てきたり、新たな出来事が起こったところで、場面が変化します。説明・論説文で意味段落を意識して読んだように、物語文では場面の展開を意識して読めるようになることが大切になります。
そして、それぞれの場面の中で、「出来事」→「心情」→「行動」という流れを押さえましょう。物語文の読解問題では、心情の説明問題がよく出題されます。登場人物の心情を理解しながら文章を読めるようになることが、入試問題を攻略する鍵となります。物語の中では、ある出来事が起こり、その出来事によって登場人物に心情が生まれます。その心情が、行動や動作となって表れます。この「出来事」→「心情」→「行動」という流れが繰り返され、物語が進んでいきます。また、会話の流れにも気をつけるようにしてください。その会話文がどういう意図で発言され、それを聞いた人物がどう受け止めて、どう返しているかを考えながら読んでみてください。
これまでに述べてきたことを身につけるためには、お子様に物語のあらすじを口頭で説明させるようにするのが効果的です。「出来事」→「心情」→「行動」に注目してあらすじをとらえ、それを説明させる練習を繰り返し行っていけば、自分で物語を読んでいくときにも、「出来事」→「心情」→「行動」という流れを意識できるようになっていきます。
最後に物語の主題のとらえ方について説明します。物語文の作者のメッセージを読み取っていくことは、問題を解く上で重要なポイントとなります。主題を読み取るには、「変化」に注目するのがコツです。ある出来事をきっかけとして、物語の前半と後半で主人公の考え方や心情に変化があったとします。その変化に注目すると、主題が見えてくることがよくあります。たとえば、初めはうまくいっていなかった親子関係が、何らかの出来事がきっかけとなって好転したとします。そのような文章は親子の愛情や絆をテーマとして書かれた物語なのだと理解できます。物語文を読み終えたときに、必ず主題を考えるようにしましょう。主題を意識できていないと、設問を解くときに間違った方向に考えてしまったり、記述式の問題で焦点のぼやけた答案を書いてしまう可能性があるので注意が必要です。
今回は物語文の読解力を身につける方法についてお話ししました。次回は読解問題の解き方について説明したいと思います。