質問回答:小1の「長文嫌い」どうする?読書好きが育つ環境づくりと親の習慣
話を聞いた人

荒賀健志

西宮北口駅ビル校教室長、国語科主管を経て、現在最難関校対策部門の統括責任者を務める。日能研関西入社以来、灘特訓、甲陽特訓、女子西大和洛南特訓、神戸女学院特訓を担当。最難関校受験生向けの教材作成、灘トライアル等のテスト作成に携わる。再現性が高く、論理的で鮮やかな解法で解説するわかりやすい授業には定評がある。

邨田大輔

岡本校教室長、最難関校主管を経て、現在最難関校対策部門の統括責任者を務める。日能研関西入社以来、灘特訓、女子西大和洛南特訓、四天王寺医志西大和洛南特訓、星光西大和東大寺特訓を担当。最難関校受験生向けの教材作成、灘トライアル等のテスト作成に携わる。受験生を合格に導く戦術の持ち主で、クラス全員第一志望合格という快挙を成し遂げた。

ご質問
「小学校1年生ですが、長文を読むことに苦手意識がすでにできてしまっています。大量に読ませてマスターさせるにはどうすれば良いでしょうか。」

日能研ベテラン講師からの回答

小学校1年生のお子様を持つ保護者の方から、「長文を読むことに苦手意識を持ってしまっている」という切実なご相談をお寄せいただきました。まずは「焦らないこと」が最も重要です。無理に大量の文章を読ませようとすると、活字そのものを嫌いになってしまうリスクがあるからです。解決策は、「読み聞かせ」や「図鑑」「小学生向けの新聞」などを活用し、知識を得る楽しさを共有すること。そして何より効果的なのは、図書館や書店をフル活用して本が身近にある環境を作り、保護者自身が読書を楽しむ姿を見せることです。今回は国語力の土台を作るための、家庭でできる具体的なアプローチをご紹介します。

低学年の「長文アレルギー」、どう向き合う?

小学校に入学し、本格的な学習が始まると気になるのが「国語力」です。特に、1年生の段階ですでに「長い文章を読むのが嫌だ」「苦手だ」とお子様が感じている場合、保護者としては「将来、読解で苦労するのではないか」と不安になるものです。
「大量に読ませてマスターさせるべきでしょうか?」 こうした焦りから、ついドリルや読書に取り組ませたくなりますが、中学受験塾の視点から見ると、そのアプローチは逆効果になりかねません。今回は、低学年のお子様が「本好き」「活字好き」へ向かうための、無理のないステップと環境づくりの秘訣を解説します。

無理強いは禁物! 「活字嫌い」を防ぐのが最優先

まず大前提としてお伝えしたいのは、小学1年生のお子様に長文をスラスラ読ませることは、非常にハードルの高い要求だということです。ここで最も避けなければならないのは、親の焦りから無理やり読ませようとして、お子様が「文字を読むこと自体を嫌いになってしまう」という事態です。
一度「読むのが嫌い」という意識が定着してしまうと、そこから「好き」に変えていくのは至難の業です。焦る気持ちをぐっと抑え、「いかに文字に親しませるか」という視点に切り替えることが、遠回りのようでいて実は最短の解決策となります。

「物語」だけじゃない! 興味の入り口を広げる工夫

「長文読解」というと、どうしても物語文を長く読むことをイメージしがちですが、「読解」の入り口はそれに限りません。お子様の興味や関心に合わせて、読む対象を柔軟に選んでみましょう。
• 読み聞かせの継続: 自分で読むのが苦手なら、まずは保護者の方が一緒に読んであげてください。「文章を読むと新しいことがわかる」「楽しい物語がある」というポジティブな感情を育むことが第一歩です。
• 図鑑や新聞の活用: 物語に興味が薄いお子様の場合、「図鑑」の解説文や「小学生新聞」などの短い記事が有効です。
◦ 図鑑の短い説明を読んでみる
◦ 新聞の短いコラムを一緒に読む
◦ 読んだ内容について「へぇ、そうなんだ!」と家族で話し合う
こうした体験を通じて、「知らなかったことが分かって嬉しい」という知的欲求を刺激することが、自発的に読む姿勢を育んでいきます。

図書館と書店をフル活用! 「本がある環境」を作る

子どもが本を手に取るかどうかは、家庭の環境に大きく左右されます。具体的な環境づくりのテクニックとしておすすめなのが、「図書館の有効活用」です。
【図書館活用のススメ】 貸出冊数の上限まで、家族全員分のカードを使って本を借りてきてください。そして、それらをリビングなどお子様の手に届く場所に「ダーッと並べておく」のです。「読みなさい」と言わなくても、目の前に大量の本がある状況を作ることで、ふと気になった本を手に取る確率が格段に上がります。
また、書店に一緒に行き、本を選ぶことも効果的です。「岩波少年文庫」や「講談社青い鳥文庫」など、小学生向けに書かれたレーベルの本が置かれているコーナーで、お子様と一緒に本を探してみましょう。

親は子の鏡? 「本を読まない親」の子は読まない

最後に、最も厳しくも重要なポイントがあります。それは「保護者自身が本を読んでいるか」ということです。
お父様やお母様が一切本を読まない環境の中で、お子様だけが本好きになるということは、まずありません。子どもは親の背中を見て育ちます。家族みんなが読書をしている静かな時間や、本を楽しんでいる姿を見せることで、お子様も自然と「自分も読んでみようかな」という気持ちになります。
本を題材にして、「こんなことが書いてあったよ」と会話を交わすことは、国語力を高めるだけでなく、お子様の思考力を鍛えることにも役立ちます。

まとめ

国語はすべての勉強の基本となる教科です。だからこそ、低学年のうちは「量」をこなすことよりも、「本嫌いにさせない」ことを最優先にしてください。
1. 焦らない:無理強いして「活字アレルギー」にさせない。
2. 多様な入り口:図鑑や新聞など、興味のある短い文章から入る。
3. 環境づくり:図書館の本を家に並べ、親も一緒に読書を楽しむ。
今日からできることは、リビングに本を置き、親子でページを開くことです。その温かい時間が、将来の「読む力」の土台を作ってくれるでしょう。