三つ子ママ③最難関校に全員合格!三つ子ママの子育て術 〜「勉強しなさい」を言わなくて済む理由〜

中学受験の悩みといえば、お子さまのやる気の引き出し方。「勉強しなさい」と言い続ける毎日に、うんざりしている方も多いのではないでしょうか。

三つ子全員を甲陽学院中学校合格へと導いたママは、「勉強しなさい」と言わずに日々の勉強をサポートしてきたといいます。今回は、子どもたちのやる気を引き出す声かけの工夫ついてお聞きしました。

「勉強しなさい」ではなく「やらなくていいの?」と問いかける

中学受験に励むご家庭では、子どもに「勉強しなさい」と言ってばかりの日々に疲れる親御さんが少なくありませんが、三つ子くんたちはいかがでしたか。

「私は子どもたちに『勉強しなさい』とは言いませんでした。周りのママさんからもよく『どうやって勉強させていたの?』と聞かれますが、強要はしないようにしていました」

お母さまが勉強してほしいと思うときは、どのような言い方で促していたのでしょうか。

「同じような言い方ですが、『やらなくていいの?』、『やったほうがいいんじゃないの?』と言っていました。命令口調では言わず、子どもたちに問いかける形です」

一度だけ言った異例の「勉強しなさい」その理由とは

命令口調で勉強を促さないようにしていたとのことですが、一度だけ「勉強しなさい」と言ったことがあるといいます。

「反抗の多い三男が、受験の10日前くらいに急に『俺、勉強しなくても受かる気がする』と言い出したからです。10日前というと周りの子たちはかなり追い込んでいる時期で、わが家でも長男と次男は熱心に勉強していました。そんな状況下で悠長なことを言うので、このときは『やったほうがいいんじゃない?』と返してはいられなくて」

三男くんにはどのような言い方で勉強を促したのでしょうか。

「動揺しながら『そんな簡単に受かるものじゃないよ。どれだけ自信があるかは知らないけど、さすがに勉強して』と言いました。口にしたあと、『私も言うんだ』と自分の言葉に驚いたことを覚えています。自分たちでやってほしいから、言わないようにしていたので」

1人が勉強を始めると全員勉強する流れに

「勉強して」とたった一度言っただけでご自身に驚かれるということは、3人とも日頃から自発的に勉強していたのでしょうか。

「はい。いつも3人でいるからか、誰か1人が勉強していたら遅れをとることに不安を感じるのだと思います。基本的には、1人が勉強を始めると、あと2人も勝手に勉強を始めます。

お母さまは勉強を促すことはなくても、勉強の内容や量などの確認はしていましたか。

「勉強量など具体的なことや細かいことは把握していません。3人で相談し合って勉強していたので、本人たちに任せていました」

進度がばらけると大変! 2人遊び出したら3人とも遊ばせる

勉強面では、基本的に3人とも自走していたということですが、自然に勉強するようにお母さまが工夫されていたことはありますか。

「遊びと勉強で場所を分けていたので、3人ができるだけ同じ場所にいてくれるように工夫していました。勉強するときはこちらの部屋、遊ぶときはあちらの部屋、というように。勉強する部屋におもちゃを持ち込まないようにしたり、勉強中は遊びの部屋には行かないようにしたりと、過ごし方のルールは作っていました」

各場所での過ごし方を守れば、あとはお子さまたちが自由に過ごすイメージでしょうか。

「勉強にそこまで神経質になっていなかったので、2人が遊び出したら1人が勉強していても『一緒に遊んできたら』と声をかけることも多かったです」

勉強していた子をわざわざ遊ぶ方向に誘導するのはなぜですか。

「ドリルや教材など、1人だけ進まれると困るからです。積極性はうれしいですが、3人は同じ行動をしてくれると助かります。進度がずれると質問されてもバラバラに対応しなければならなくなるので大変です。何度も説明しなくて済むように、できるだけ同じ進度で進めてもらえるように工夫していました」

子どもの気持ちに寄り添いながら効率的になる工夫を

三つ子の勉強管理というと非常に大変そうですが、常に子どもたちの気持ちに寄り添った対応を選ばれているように感じました。命令口調で促さないようにしたり、本人たちの自習性に任せたりと、勉強に対してネガティブな気持ちを抱かないための工夫が随所に凝らされていた印象です。

例えば、勉強の進度をそろえてほしいときも、「一緒に遊んできたら」と提案することで、やる気を削がずに自然と目的を達成できるのでしょう。勉強を促す声かけも、親子にとって大切なコニュニケーションの一つです。小さな言葉選びの連続が、お子さまのやる気アップや、親子間の信頼形成につながるのではないでしょうか。

聞き手・文:古賀令奈