真似すれば合格できる?最難関校の合格者が実際にしている勉強法

中学受験に挑む多くの方が憧れる最難関校。わが子が目指すにあたり、勉強法にお悩みの方も多いのではないでしょうか。息子さんの勉強方法に悩むIさんから寄せられた「最難関校合格する人はどんな勉強をしているのでしょうか?」というご相談について、日能研のベテラン講師である荒賀先生と邨田先生のご意見をうかがいました。

最難関の子は勉強の優先順位を正しく理解している

「息子なりに頑張っているとは思いますが、最難関校を目指すなら今の勉強量で足りていると思えませんし、これ以上増やせる気もしません」とお困りのIさん。最難関校対策のベテランである国語担当の荒賀先生が、中学受験のトップ層の子どもたちにみられる傾向について語ります。

「最難関校に合格した子どもたちは、学習の優先順位をきちんと理解しています。優先度の高いものを自分で的確に判断する力があり、無駄な学習に時間を使いません。授業に欠席した場合は、優先順位だけを質問されるケースもあるほど、時間の有効活用を重視している印象です」

大量の課題が出た場合でも、過度にプレッシャーを感じる必要はないといいます。

荒賀先生「時間がないときは、優先度の低いものについては『しなくてよい』と見切りをつけることも大切です。大量の課題を全部こなすことが目的ではなく、必要な学習を経て実力をつけることが目的ですから」

最も大切なのは「解き直し」ふり返りが甘い子は素質があっても伸び悩む

上位校を目指すうえで、振り返りが最も重要だそうです。勉強のなかで優先順位が一番高く、成績上位層の子たちは授業の復習や解き直しを重視しているといいます。

荒賀先生「上位層の子達は自分ができないものをできるようにするための努力をしています。授業で間違えた問題は原因を分析したうえで解き直し、きちんと自分でできるようになるまで徹底してやり直します」

最難関校対策のベテラン算数講師である邨田先生によると、振り返りの質が成績を左右するそうです。

邨田先生「成績が伸び悩むお子様によくみられるのが、振り返りが非常に甘かったり、振り返りから逃げたりしているケースです。頭の回転が速く素質のあるお子様であっても、振り返りをきちんとできなければ、最難関校の合格ラインまで届かないケースは往々にしてあります」

振り返りが苦手な場合は、極力褒めてあげることが大事だそうです。

邨田先生「少しでも復習や解き直しをしたら、極力褒めてあげてください。私の場合はご家族の方にもご協力いただいています。『前より成長したね』と周囲の大人が口を揃えて褒めることで、やる気が高まるようになります」

多くの子どもは、大人が想像する以上にバツのついた問題と向き合うことを嫌うようです。

邨田先生「バツと向き合うことは本能的に苦痛なのでしょう。大人の場合は、間違いと向き合ったほうがプラスになると理解して取り組めますが、子どもの場合そうはいきません。精神年齢が高い一部の層を除いて、多くのお子様が苦しみます。だからこそ、大人がポジテイブに働きかけて振り返りを習慣化させていくことがとても大切です」

「コレをやる」と決めたら最後までやり切ることが重要

「4年生の場合、1日の勉強時間として何時間くらいが理想的でしょうか?」と適正な勉強時間を知りたい様子のIさん。荒賀先生は、この考え方にも疑問を呈します。

荒賀先生「多くの保護者の方から『〇年生の標準的な勉強時間は何時間ですか』と聞かれることがありますが、この考え方は改めましょう。たとえ3時間、4時間経とうが、やるべきことが終わるまでやり続けてください。『コレをやる』と決めたら最後までやり切るだけなので、時間の長さは関係ありません」

たとえ長時間勉強したとしても、費やした時間で勉強の度合いを図ることはできないそうです。

邨田先生「10時間など長時間勉強し続けている場合は、途中で止めてあげたほうがいいと思います。その日の達成感は大きいですが、毎日続けられないのでやる気のムラが大きくなりやすいでしょう。勉強で最も力のつくスキルは、日々の積み重ねです。毎日粘り強くコツコツと優先順位の高い勉強をすることが、最強のスキルといえます」

正しい勉強との向き合い方を知ることで、社会で求められる力も身につく

中学受験はそもそも一つの通過点であり、大切なのは本質を学ぶことだといいます。

荒賀先生「第一志望校に行きたい気持ちはわかりますが、それより大事なのは、正しい勉強との向き合い方を身につけることです。社会に出てから活躍できるための考え方や努力の手法などのスキルをつけてほしいと思っています。最難関校に合格する子どもたちは、自分に必要な勉強をきちんと理解し、正しく向き合っている子ばかりです」

勉強の本質を見誤ることなく正しく向き合えるようになることで、勉強に対するスタンスが根づくそうです。

荒賀先生「中学受験で培ったスタンスは社会に役立つものであり、将来に向けてずっと伸ばしていける大切なスキルです。我々が子どもたちに教えていることと社会で求められる力はほとんど変わりません。実際に、私たちの社員研修では、子どもに教えていることと同じことを伝えています」

日能研では本質を学ぶ学習を重視していますが、すべての塾が同じ考え方ではありません。

荒賀先生「日能研は目先の問題を説明することに終始せず、社会に役立つスキルをつけていくための指導をしています。社会で活躍する人になるためには、実は勉強はそれほど関係ありません。もっと本質的なものを身につければ、社会で活躍できます。実際に、高学歴でなくても名誉ある地位を築いている人もいますから」

中学受験に一生懸命取り組むほど、目先の合格にとらわれてしまう方は少なくないでしょう。しかし、その合格は、お子様の豊かな将来に向けた一つのステップであり、合格そのものが人生を豊かにしてくれるわけではありません。社会で活躍できる力を育てる「本質」を学ぶ学習を、日能研で体感してみませんか。

聞き手・文:古賀令奈