
中学受験に励む娘をもつNさんから「娘が授業中にぼーっとしていると、塾から報告を受けました。真面目な子なので意外なのですが、どうしてあげるのがよいのでしょうか」というご相談が寄せられています。Nさんのお悩みについて、日能研のベテラン講師である荒賀先生と邨田先生のご意見をうかがいました。
原因1:「ぼーっとしている」のは詰め込みすぎのサインかも
「塾の先生から電話があり、『最近は授業中にぼんやりしているようです』と言われました。幼い頃からいつも真面目に頑張る子だと評価されてきたので正直信じられませんが、一体どうすればよいのでしょうか」と動揺している様子のNさん。算数担当の邨田先生が、同様のケースでみられた原因について語ります。
邨田先生「予習や復習などを詰め込みすぎて、情報に溺れてしまっているのかもしれません。時間の流れに身を任せているだけの状態です。情報過多でぼーっとしている場合、ご家庭や塾など大人との関わり方で、改善できることがあるように思います」
子どもが授業中にぼんやりしているとき、どのような様子から原因に気づけるのでしょうか。
邨田先生「集中力です。例えば、宿題のノートを見ると形がきちんと整っていて勉強しているように感じますが、授業中は一切話を聞いていなかったり、時計を見て上の空になっていたりします。こうした状態になる場合、過干渉になっているかもしれません」
予習は必要なし。必要な勉強を優先して詰め込みすぎを防ぐ
国語の荒賀先生が、予習や復習などを詰め込みすぎる勉強に対して警鐘を鳴らします。
荒賀先生「日能研ではそもそも予習はしないように伝えています。子どもは知っていることについて話を聞こうとしないため、集中力が下がりやすいからです。しかし、最初はわかっていても途中からわからないことが出てきます。そのときに線引きができずに聞き逃してしまうため、自習は控えていただきたいです」
勉強で大切なことは、授業の振り返りであり、解いた問題を確認するだけではなくきちんと分析し、解き直しに重点を置くことだといいます。
荒賀先生「時間には限りがあるので、受験において何を優先すべきか、何を省くかを考えることが重要です。わからない場合は遠慮なく我々に聞いていただき、調整することを意識してほしいと思っています。勉強では解き直しが一番大切なので、そちらを優先してください」
宿題の量が子どものキャパシティを超えている場合、宿題に追われて解き直しをする余裕がないときもあるでしょう。
荒賀先生「宿題が多くて解き直しの時間がとれない場合は、お子様の学習状況に合わせて宿題を減らすなどの調整を行います。遠慮なくご相談いただきたいです」
原因2:「ぼーっとしている」のは親への依存サインの可能性も
子どもが授業中にぼんやりしている場合、親への依存が影響している可能性もあるそうです。
荒賀先生「ご家庭で勉強を教えていると、『お父さん(お母さん)に教えてもらえばいいや』という考えで授業に集中しないお子様もいらっしゃいます。毎回の授業できちんと理解することが大切なのに、ご家庭でのケアが逆効果になってしまう可能性があります」
高学年でこのような現象が起こる場合、家庭で干渉しすぎているために、子どもが依存してしまっている可能性があるようです。
おすすめの自立サポートは「授業の再現」
邨田先生は、過去に「子どもと関わって勉強の話をしていないと不安です」というお母様から相談を受けたといいます。そこで提案したのは、授業を再現する方法です。
邨田先生「お子様が授業で聞いてきたことを、お母様に説明してもらいました。自分が知ったことは親しい人に伝えたいものなので、『こんなこと勉強してきたんだよ!』とお母様に聞いてもらうことでやる気が高まったようです」
授業の再現により、学習の定着を高める効果が期待できるのも魅力といえます。さらに、お母様とお子様の双方に大きなメリットがみられたそうです。
「お子様の話を聞くスタンスに変えていくことで、お母様も安心されたように思います。お子様にも変化がみられ、お母様に喜んでほしいからか授業の受け方が明らかに変わっていきました」
子どもがぼんやりする原因はさまざまありますが、中学受験に励むお子様の場合は詰め込みすぎや依存状態が考えられるといいます。高学年では手を少しずつ離しながらも心は寄り添い、成長につなげられるようサポートしたいですね。
日能研では一人ひとりのお子様に寄り添ったサポートを行なっています。中学受験を通し、中高生活や大学入試に向けた下地づくりを意識してみませんか?
聞き手・文:古賀令奈