
今回は比喩説明の記述問題の解き方をお話しします。
前回は具体化の記述問題の解き方を説明しましたが、今回の比喩説明の記述問題は、設問の見た目は具体化の記述と変わりがありません。異なる点は、傍線部の中の説明が求められている箇所に、比喩表現が使われているということだけです。しかし、これが厄介な問題なのです。なぜなら、比喩説明の問題だと気づかないで設問を解いてしまい、ピントのぼやけた解答を書いてしまう可能性が高くなるからです。ですから、比喩説明の問題であることに気づくことが、まず大切なことになります。
比喩説明の問題で初めに考えることは、何が何にたとえられているのかをつかむことです。次に、「たとえているもの」と、「たとえられているもの」との共通点を考えるようにします。比喩は、「たとえているもの」と「たとえられているもの」の間に共通点がなければ成立しません。ですから、共通点を考えてやることで、説明すべきポイントが見えてきます。共通点を考える際には、「たとえられているもの」を頭の中で映像化してみて、その特徴を思い浮かべるようにするとよいでしょう。「たとえられているもの」の持つニュアンスをしっかりと出してやることが、比喩説明では非常に重要になります。共通点が見つかれば、それを元にして、傍線の内容を言い換えてまとめれば、解答が完成します。
では、具体的な例をあげて、説明したいと思います。大きな地震を体験した子供が「トランポリンみたいだったよ」と言ったとします。「トランポリンみたいだったよ」とは、何がどういう状態だったかを説明しなさい、という設問を考えてみましょう。
まず、「地震の揺れの状態」を「トランポリン」にたとえていることを押さえます。次に「地震の揺れ」と「トランポリン」の共通点を考えるようにします。「たとえられているもの」である「トランポリン」の動きを頭の中で想像してみましょう。トランポリン上の人が、大きく上に飛び上がる様子が思い浮かんだでしょうか。つまり、トランポリンにたとえられた地震の揺れは、縦に大きく揺れたものだということを読み取らなければなりません。ですから、ただ単に「体が揺れた」という説明では不正解で、「体が上下にひどく飛び跳ねていた状態」と説明できて、正解ということになります。
比喩を説明する問題に関しては、この「たとえられているもの」にこめられたニュアンスを、いかに上手く表現するかが勝負どころになります。そのために、「たとえられているもの」を映像化して、言葉の持つ含みの部分をつかみ取ることが大切になります。
今回は比喩説明の記述問題の解き方を説明しました。最難関中学校ではよく出題される設問であり、なおかつ差のつく問題になりますので、しっかりと攻略法を身につけてほしいと思います。