
今回は語彙力の身につけ方についてお話しします。
言葉を覚えるには、「そのような言葉がある」と認識することが必要です。「そのような言葉がある」という認識がなければ、いつまでたっても「その言葉」を身につけることはできません。まずは今まで自分が知らなかった言葉について、「その言葉」の存在を知ること。これが言葉を覚えるための最初のステップです。
では、自分の知らない言葉を認識するためには、どうすればいいのでしょうか。やみくもに辞書を読んで覚えようとするのは、効率的ではありません。やはり、国語のテキストで読んだ文章の中に出てきた自分の知らない言葉を覚えることが、オーソドックスではありますが、最良の方法です。
知らない言葉が出てきたときに、何らかのアクションを起こすことが大切です。せっかく知らない言葉に出会っても、ここでアクションを起こさなければ、その言葉に出会ったという記憶が残らないため、次にその言葉に出会っても、初めて見たのと変わらないのです。言葉を覚えるには、まず言葉というコップを手に入れなければなりません。ただ、初めはそのコップの中は空っぽです。ノートに自分の知らなかった言葉を書き、辞書で調べて、その意味を書き写すようにします。このとき意味を写すだけでなく、例文もノートに書いておくのがポイントです。辞書に載っている例文でもいいですが、国語のテキストの文章を写しておいた方が、あとでノートを見返したとき、「ああそう言えば、この言葉はあのテキストの中で出てきたな」と思い出すことができるので、記憶として定着しやすくなります。このような作業を通して、言葉のコップの中に少し水がたまります。
また、ノートに書き写す作業をしていると、別の文章でその言葉が使われているのを見かけたときに、「そういえば、この言葉は以前に見たことがあるな」と思い出せるようになっているはずです。すぐに意味が出てこなくても構いません。もう一度その言葉を辞書で調べ、「ああそうだ、こんな意味だった」と確認しましょう。言葉のコップにさらに水がたまります。このようなことを繰り返していくうちに、どんどんコップに水が満たされていきます。そしてコップに水が溜まりきったとき、その言葉を完全に使いこなせるようになっているのです。
言葉のストックをするときは、専用ノート用意しましょう。見直すときに便利ですし、「こんなに言葉を調べたんだ」という達成感にもつながり、モチベーションをアップさせる効果も期待できます。
この方法が語彙力を増やすための王道ですが、当然時間のかかる勉強法です。ですから、この方法と並行して行うと効果の上がる、短期間で語彙力を増強する方法も紹介したいと思います。
それは漢字の学習を進めていくことです。漢字は学年配当が決められており、小学校では、その学年の配当漢字を1年間かけて学習していきます。しかし、4年生が読む文章だからと言って、3年生までに習った漢字だけで書かれている文章を読むわけではありません。もちろん、まだ学習していない漢字には読み方のルビがふってありますが、5年生や6年生で習う漢字、さらには中学生で習う漢字も文章の中では使われています。したがって、漢字については、学年を超えてどんどん覚えていった方が、文章読解には有利だと言えます。
漢字を学習するときには、字形を正確に覚えることと、読み方を覚えることが基本になりますが、その漢字自体の意味を知ることが重要です。漢字辞典で漢字を調べ、その漢字の意味をノートに写します。そして、その意味で使われている熟語を書き出します。
たとえば、「服」という漢字には、「着物」という意味があることはすぐに思いつくでしょうが、「従う」という意味や、「飲む、食べる」という意味もあります。ノートには「着物」の意として、「衣服」「服装」と書きこみます。次に「従う」の意として、「服従」「服役」と書きます。そして「飲む、食べる」の意として、「服用」と書いておくわけです。
さらに、文章の中で知らない二字熟語に出会ったときは、その熟語の意味を調べるとともに、その熟語を構成している漢字の一文字一文字の意味を考えるようにします。そうすると、漢字そのものの持つ意味と、その熟語の意味がつながりを持って理解できるようになるため、スムーズにその熟語を覚えられるようになります。この作業を続けていくと、知らない熟語を見たときに、その意味を推測できるようになります。
このように、知らなかった言葉を覚えることと、漢字の学習をすることで飛躍的に語彙力が増します。語彙力が増すと、読解力もぐんぐん伸ばすことできます。地道な努力を続けていきましょう。